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【うつ病】学校でお金の知識を教えない日本で起きる悲劇の病

夫婦のお金の問題とうつ病

こんにちは、パパ見習いの精神科医、植物男子Kです(*’▽’)

今回は心の病気に関するお話。

こころの病院で働いていると、時に重度のうつ状態で「死」を考えてしまうほどに追い詰められた患者さんを診ることがあります

それとは別に日本では義務教育でお金に関する勉強をしないという現実があり、なぜしないのだろうかと指摘されることもあります。

今回紹介するのは、もし日本できちんとしたお金の教育が行われていたなら防げた可能性のあるうつ病の患者さんのケース。夫婦家族において適切なお金の知識や家計について話し合う姿勢さえあれば防げる病があるのではないかと考えていて、守秘義務やプライバシー等に配慮し、具体的な話は省いてお話します

にゃんごろー
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学校でお金の知識を教えない日本で起きる悲劇の病

重度のうつ状態となり希死念慮が出現したAさんのケース

(具体的な表現は省いています。)

あるとき家族に連れ添われてAさんという男性が来院されました。家族によるとストレスを感じやすく仕事が長続きせず、最近転職したものの徐々に元気がなくなり、手帳に「死にたい」と書き込むほどになっていたそうです。

Aさんには妻と子供がいましたが、自死を考えていたAさんは幼い子どもに「パパもう駄目だ」と泣きながら語りかけたのち、遺書を残して仕事に行かずに行方不明となりました。幸いその後保護され、ご両親の付き添いで精神科の病院を受診されたのです。

希死念慮や自殺企図を伴う重度の抑うつ状態であり、「仕事先や家族に迷惑をかけている」「自分はほんとうにどうしようもない」といった罪悪感を含んだ訴えがみられました。不安感や焦燥感、不眠、食欲低下もみられ治療のため入院となりました。

【補足】うつ病の診断基準

ちなみに、うつ病と診断されるためにはDSM-5という診断基準が使われます。

(1)抑うつ気分

(2)興味や喜びの喪失

・・・のいずれかがあり、

(3)食欲の異常な減退か増加

(4)不眠や過眠

(5)焦燥感や精神の静止

(6)疲労感や気力の減退

(7)自己の無価値観や不適切な罪悪感

(8)思考力や集中力が減退。決断力の低下

(9)繰り返し死について考える、自殺しようと行動する

これらのうち5つ以上に当てはまり、項目が増えるたびに重症度が変わります。それらが2週間以上続いていて、生活に大きな影響が出ている場合。薬物や他の病気の影響ではないにうつ病と診断されるのです。

今回のAさんのケースではこれら項目のすべてに該当し、入院治療が必要な重症のうつ病と診断されました。

〇入院後の経過と新たな問題点

うつ病の治療として抗うつ薬を中心とした薬物療法が開始となり、1週間、2週間と経つなかで徐々に「死にたい」という希死念慮や無価値観などが薄らいでいきました。

睡眠や食事なども取れるようになり顔色も良く、病棟内では元気にお話もされるようになっていきましたが、退院にむけての話し合いの中でこのAさん家族に存在する大きな問題点が見えてきたのです。

それは奥様との信頼関係が離婚寸前のところまで崩れているというものでした。日本でも離婚する夫婦というのは珍しくなく、その理由は性格の不一致や経済的なもの、暴力など様々ですが、Aさん夫婦の間でも性格の不一致、経済的な理由などが長年に渡って存在したようなのです。

奥様からすると、子どもの遊び相手になることもなく週末はパチンコや煙草、パートで働く奥様に無断で高額の外食や出費を行い、話し合いをしようとしても意に介さずといったことが何年もつづいていており、我慢の限界となっていたそうです。

「離婚を考えていて、退院するといっても自宅には戻って欲しくない、実家に行って欲しい。」というその状況は深刻で、家族を交えた話し合いのなかで不眠や食欲低下などAさんの精神状態は不安定となっていきました。うつ症状の治療と並行して本人と家族の信頼関係の修復が不可欠な状態と考えられました。

〇うつ病の奥に隠れていた夫婦の不和。その要因とは

当初は仕事のストレスが原因かと思われていたのですが、話を聞く中で実は夫婦の心のすれ違いが実は最大のストレス因であることが見えてきたのです。

今回のケースにおいてのポイントは2つあり、一つは夫婦におけるコミュニケーションの不足であり、もう一つはあえて言えば両者の金銭的感覚の不一致でした。基本的に個人がどのような金銭感覚をもつことも自由かもしれませんが、一般に夫婦としてやっていく中では将来に向けたお金のことはやはりある程度話し合うことが望ましいと個人的には思います。

夫婦としてやり直したいと熱望されたAさんでしたが、奥様も長年の苦労のため、「電話もかけてほしくない」というほど状況は膠着していました。またAさんのご両親もAさんの意志を尊重し、できるならば家族の再生をと望まれていました。

〇心の病が生まれた原因に対するアプローチ

ここからは一般的な医療とは少し異なりますが、Aさんとご家族様と話し合う中で提案したのは、2冊の書籍を用いた勉強でした。

〇「対人関係療法で改善する夫婦・パートナー関係」

一つは対人関係療法の本。

恋人、夫婦、父と母と関係性が変化していく中で、忘れがちになる相手に対する気遣いと必要なコミュニケーションについて様々な事例を通じて、深い気づきを与えてくれる書籍です。

 

〇「バビロンの大富豪の教え」

もう一つは生活におけるお金の書籍。こちらはご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

人が豊かに生きていくなかで真に重要なものはお金ではない。しかし生活において人はお金を使って価値を共有し生きている。その中でお金の知識はすべての人に重要で、お金を稼ぐこと、貯蓄すること、増やすこと、守ることについての正しい知識を身につけよというお金に関する普遍的な気づきを与えてくれる書籍です。

 

植物男子K
植物男子K
この2冊をAさんにお渡し、家族の方にも読んでいただきました。

特にバビロンの大富豪の教えは、主人公が妻と離婚した考古学者であり、バビロンの教えを知る中で変わっていったというストーリーであり、共感できるものがあると思ったためです乙女のトキメキ

Aさんは熱心に読んでいただき、当初はやり直したいという焦燥感からの表面的な理解であったものから、対話を重ねていく中で、もし今後関係が上手くいかなかったとしても、自分の責任を尽くすといった落ち着いた理解へと変わっていかれました。

そういう変化もあり、同じく書籍を読んでいただいた奥様も最終的にもう少し様子を見てみたいという理解も得られ、一定の条件つきではありますが無事退院となりました。

今後ご夫婦がうまく信頼関係を結びなおせるかどうかは、Aさん次第ということになるかもしれませんが、出来ることならうまくいって頂けたらということを願ってやみません。

「人は変わらない。」という言葉もありますが、「人は変えられない、変えられるのは自分だけ」という言葉が好きで、変わりたいと思っておられる人であればその力になれたらと考えています。

結果がどうであれ今回の関係者のみなさまが幸せになられるよう変わられることを祈っています。現在は家計簿をしっかりつけて煙草やギャンブルをやめたいと両学長さんのYoutube、書籍なども勉強されているそうです(*’▽’)

〇お金の教育の大切さ

リベ大のお金の大学@両学長

このエピソードから思うことは、日常におけるお金の教育の大切さです。

ご存知の通り、日本では義務教育にてお金の教育というものをまったく行っていません。逆にお金の話をするのは汚いことと教えられた方も多く、もしかしたら医者がするなんてもっての他と思われているかもしれませんね。

ただ、お金の教育を行わないために多くの人がお金で損をしたり、苦労したりしている現実があります。リボ払いや宝くじ、若い方から高齢の方まで安易な儲け話にはまって騙される人が後をたちません。

うがった見方をすれば、あえてお金の教育を行わないようにしているのかもしれません。世の中の賢い人や勉強した人にとっては、自分以外は頭が悪い人がいてくれたほうが儲かるというのは事実ですし。お金の知識が乏しく不合理な商品を嬉しがって買ってくれる人が多くいれば多くいるほど、ちょっと努力しただけで儲かるのですから。

とはいえ国にはぜひ皆が賢い国民になっていけるよう政策を改めて欲しいと願います。もちろん願っているだけではなく、個人的にも精神医学以外にも勉強を続け、お金のこと生活のこと、それらを周りの人でもいいなと思える知識を伝えられたらと思っています。

ではまた(*’▽’)

ABOUT ME
植物男子K
植物とDIYをこよなく愛する植物男子兼精神科医。 大学時代は和食さとで料理と自炊の腕を磨く傍ら、水にぬれたプリント化粧板の家具がふやけたことに衝撃を受け、本物の木の家具に憧れを抱くも、高すぎる大塚家具に絶望しDIYに目覚めた過去を持つ。

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