こんにちは植物男子Kです。
現在世界中を騒がしているコロナウイルス肺炎。日々感染が拡大し、多くの死者が出ていることや逆に治療法等に関するニュースが伝えられはじめています。
コロナウイルスに関する不安も高まっており、マスクの買占めが起こったり、感染の疑いのある人や特定の外国人に対する忌避的な感情も高まっているように思います。命に関わるかもしれない病気で、それが未知の物であれば不安になるのも当然なのかもしれません。
しかしどのようなことにも共通して言えることですが、知らないことが不安につながり、不安が適切な判断を誤らせることがあります。
自分は精神が専門なので肺炎に関する知識は決して深くはありませんが、それでも最低限のことをお伝えし、必要以上の不安や恐怖が広まらなければとおもいます。

- 1.コロナウイルスは一般的には風邪を引き起こすウイルス。今回の新型コロナウイルスは比較的重症化する可能性が高い変異型。
- 2.治療法は現時点で確立されていない。現時点での治療法は対症療法。つまり輸液や酸素投与をしつつ、人間本来の免疫システムがウイルスを排除するのをサポートする」ことにあると思われる。
- 3.コロナウイルスにかかっても、免疫力のしっかりしている若くて健康な人は、適切な対症療法を行なえば、おそらく命に関わることはない。でも免疫力の弱い方は重症化することも多く、場合によっては命に関わることもある。
- 4.知らない不安やうわさに踊らされず、根拠のある情報を集め正しく恐れ対処しよう。
コロナウイルス肺炎について
国立感染症研究所提供
一般のコロナウイルスは風邪の原因ウイルス
中国を中心に感染が拡大している新型コロナウイルス肺炎。インフルエンザウイルスなどに比べると耳慣れないコロナウイルスですが、実はこのコロナウイルス自体は風邪の原因ウイルスとして身近に存在しています
コロナウイルスは風邪の原因の約15%を占め、ライノウイルス(50%)に次いで二番目に多く、特に冬の時期に流行します。
SARSと同じく重症化しやすい変異型
一般的なコロナウイルスが風邪症状程度でおさまるのに対し、今回の新型コロナウイルスが世界中でニュースになっているのは、症状が比較的重症化する可能性が高いからです。
実は2002年に流行ったSARSもやはり同じくコロナウイルスの変異型でした。当時中国を中心に8096人ほどの方が感染し、774人の方が死亡するという惨事を引き起こしました。
今回も中国で発生が確認され、2020年2月10日時点では4万2638人の方が感染し、うち1016人の方がなくなっていると報道されています。
軽症であれば風邪~インフルエンザ程度だが、重症化すると肺炎に進展
症状は現在も完全には解明されていませんが、10日前後の潜伏期を経て、風邪やインフルエンザ様の症状を発症し、場合によっては肺炎に進展し重症化するとされています。
新型コロナウイルス肺炎の治療法は?

コロナウイルスの特効薬は確立されていない
感染性の肺炎には大きく分けると「細菌によるもの」と「それ以外によるもの」があります。細菌性の肺炎には抗生剤が効きますが、一般的にウイルスには抗生剤は効きません。
一般的な風邪に対する風邪薬も特効薬ではない。
先ほど風邪がコロナウイルスなどのウイルスによって引き起こされると書きましたが、風邪に特効薬がないのもウイルスによって引き起こされているからです。
一般に風邪薬とされているものは風邪の症状を抑える薬であって、風邪のウイルスを殺す効果はありません。症状を抑えながら、自分の免疫によってウイルスを退治してくれるのを待っているのです。
コロナウイルス肺炎には対症療法
では特効薬がないコロナウイルスに対してどのような対応がされているのでしょうか?
このような場合の一般的には治療法は対症療法。つまり「酸素投与による呼吸管理や水分や栄養分の点滴、体温管理を行い、人間本来の免疫システムがウイルスを排除するのをサポートする」ことにあります。
期待される治療薬
現在実際の医療現場では様々な治療が試されているようで、外国の一部報道ではインフルエンザとエイズウイルスの薬を併用することで効果があった言われています。
実際日本国内でもHIVの治療薬が使用されているケースがあります。RNAウイルスであるコロナウイルスにはhivやインフルエンザの薬が効くんじゃないか?と考えられているようですね。
しかし症例数も少なく自分の免疫によって回復したことも否定できない為、現時点で治療効果があるとは断定されていません。
以下参考↓↓↓
インフルエンザとHIVの薬について簡単に解説します。
インフルエンザの薬とは?
インフルエンザにはタミフル、リレンザなどの特効薬がありますが、ノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれる薬で、細胞内に侵入して増殖したあとに細胞外に飛び出していくことを邪魔することでインフルエンザを抑制します。細胞の中に閉じ込められたウイルスはその後体の免疫細胞によって排除されます。
エイズウイルス(HIV)の薬とは

HIVの治療薬には逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬などの薬があります。
逆転写酵素阻害薬とは
人間の場合、DNAという設計図の中に体を作る情報があるのですが、実際に体の細胞を作っていくときには2重らせん構造のDNAという本からRNAという一本鎖のメモ帳にいったん情報を書きとって、それを基にタンパク質を合成しています。
HIVはRNAウイルスと呼ばれるウイルスで、人間の免疫細胞の中に感染し、自分を人間に増やしてもらうために、RNAというメモ帳を逆に人間のDNAに書き加えようとします。これを行う為のものが逆転写酵素で、これを阻害することでウイルスの増殖を抑えます。
インテグラ―ゼ阻害薬
逆転写酵素によってHIVのRNAから作られたウイルスDNAを人間のDNAに組み込む働きをするのがインテグラーゼで、これを阻害するものがインテグラーゼ阻害薬です。
プロテアーゼ阻害薬
インテグラーゼによって人間のDNAの中に組み込まれたウイルスDNAからRNAを経て作られたタンパク質を組み立てる働きをするのがウイルスプロテアーゼで、それを阻害することでウイルスの増殖を抑えます。
HIVは不治の病から付き合っていく病に
なお、横道にそれますがこれらの薬を3つ組み合わせて服用することでHIVに感染したとしてもエイズ発症を抑えることができ、薬を飲み続ける必要はありますが、免疫不全状態に陥ることなく生活することができるようになっています。
持病がある、高齢、妊産婦など免疫力の弱くなっている人は要注意

様々な薬が現在試されておりワクチンの開発なども急がれていますが、現時点で新型コロナウイルスに感染してしまうと特効薬はなく、対症療法を行うことになります。それでは実際にこのウイルスにかかってしまった場合どうなってしまうのでしょうか?
免疫力が高い健康な人は重症化する可能性が低い
毎日新聞の報道に新型肺炎 「症状、少し重いインフル」「抗HIV薬使った」 国立国際医療研究センター・大曲貴夫医師という記事もありました。中国での状況や死亡率も考慮すると客観的には若く健康的な方が感染してしまったとしても適切な対症療法さえ行うことができれば重症化する可能性は極めて低いことが推測されます。
気をつけなければいけないのは免疫力の弱い人
しかし免疫力が弱く、感染によって重症化してしまう可能性のある方はやはり注意しなければいけません。
一般に免疫力が弱いとされるのは以下の場合です。
①高齢であること
肺炎の重症度分類にA-DROPという指標があります。
年齢: 男性70歳以上,女性75歳以上
脱水: BUN 21mg/dL以上または脱水あり
酸素: SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)
意識障害
血圧(収縮期)90mmHg以下
この5つの指標を基に入院による治療が必要かの判断がなされるのですが、年齢は肺炎の重症度分類に入っているほどで、男性70歳以上、女性75歳以上であれば体力の低下から重症化しやすいと判断されています。
②乳児、妊産婦の方
生まれたばかりの赤ちゃんであれば、母親由来の免疫が守ってくれます。でも6か月を過ぎたあたりからそれらの免疫が低下し始め、代わりに自分の免疫を発達させていくのですが、成人と同じレベルになるのが7歳ごろだと言われています。
また妊娠中のお母さんの場合、お腹の赤ちゃんを自分の免疫で攻撃しないよう免疫力が抑えられている状態にあります。コロナウイルスだけでなく、くれぐれも感染予防には注意してください
③糖尿病の方
免疫細胞の一つである白血球は細菌やウイルスなどの異物や侵入者をスライムのように取り込んで食べて殺したり、殺したウイルスの一部を基に抗体づくりのために提供するなどの働きをしています。
糖尿病になると血中の血糖値が増えますが、この状態になると白血球の働きが弱まることが知られています。
④ステロイドなどの免疫を抑制する薬を内服している方
ステロイドという薬は炎症を抑えることができる薬ですが、アトピーなど暴走してしまった自己免疫を抑えるのにもつかわれています。当然免疫力が低下してしまうので、感染症などには弱い状態になります。
⑤心臓や肺などに持病がある方
コロナウイルス肺炎にかかった場合、肺からうまく酸素を取り入れることが出来なくなるため、血液の酸素濃度が悪化します。代償的に心臓が大量の血液を送ることで体に必要な酸素を送ることが必要になるため心臓に負荷がかかります。
このように肺はもちろんのこと、心臓や腎臓、肝臓といった体にもともと病気を持っているという方は肺炎にかかった場合、かかる負荷に耐え切れない可能性があります。
知らない不安に踊らされず、知って正しく恐れて予防しよう。

ここまで新型コロナウイルス肺炎について書いてきました。
新型コロナウイルス肺炎は怖い病気です。決して侮ってはいけない病気ではあります。しかしかかってしまったら終わりだ!!という病気ではありません。
自分にとってどのくらい脅威なのかをしっかりと見極めて行動することが大切です。
もちろん、マスクや手洗いによる予防は大切です。人の多いところを避け、不要な外出を引けることも大切です。
そのうえで体力の自信のある方は必要以上に恐れずに、必要最低限のマスクを買い、より必要とされる方にいきわたる様に譲るという気持ちも持っていただけたらと思います。
病気への不安が新たに引き起こす不幸に注意を
コロナウイルスを恐れるあまりバスの運転手の夫に帰ってくるなという記事も見ました。
関連⇒バス運転手 新型肺炎を怖がる妻が「家に帰ってこないでね」
このようなことから夫婦仲にひびが入り、もし離婚になってしまったら・・・
また恐れるあまり外国人や中国帰りの人に対するいじめや差別的対応が起こっているとも聞きます。
全てが沈静化した後に幸せな日常を取り戻すためにも新型コロナウイルス肺炎についての知識を高め、不安に負けずこの災害を乗り切っていくための助けのなれば幸いです。