こんにちは、パパ見習いの植物男子Kです。
今回も相続税に関するお話。
前回から税理士Youtuberの秋山先生の動画を参考に相続税について学んできましたが、今回は「暦年贈与」を利用して出来る相続税対策について考えます。
元税務署職員で税理士でもある秋山先生が、相続に関する専門的な知識を解説してくださっています。
将来のために貯金や投資を続けることは大切なことですが、何事も目標や終わりを意識して計画することが大切です。例えば子どもや孫に少しでも資産を残してあげたいという気持ちはあっても相続税のルールを把握しておかなければ将来大きく損をしてしまうこともあるのです。
今回は、老年世代だけでなく、若年世代の資産形成に取り組まれている方にとっても重要な相続税のこと、とりわけ暦年贈与という制度とそれをいかにお得に利用すべきかをシュミレーションを交えて考えます。
なおこの暦年贈与は相続税対策を潰したい政府から目をつけられており、近年中に贈与税と相続税の一体化が検討されていると報道されています。現在「死亡時から3年以内の贈与を認めず相続財産に含める」としている制度をさらに5年、10年と伸ばすことが予想されています。つまり元気なうちから相続税対策を行わずにいざ高齢になって相続税対策を始めても何もできることがないというお寒い時代が既にそこまで来ています。



贈与税と暦年贈与の基本

現在20代や30代の若年の方の間でも資産形成の重要性が高まっています。支出を減らし投資に回すなどして堅実に資産形成に取り組む方が増えている一方で、堅実すぎるために「死ぬ直前に一番お金持ちになる」と揶揄されるように、今を豊かにするためにいくら使うのか、将来を豊かにするためにいくら投資し残せばいいのかという悩みも生まれてきます。今と未来にどう配分するのかを考えるために、相続税の合法的な節減対策の観点からシュミレーションをしてみます。
暦年贈与とは
今回特に考えるのが「暦年贈与」という制度。一般に親から子供にお金を送る場合でも生活費などを除き、一定の額を超える場合には贈与税というものを払う必要があります。1年間に非課税で贈与できる額は110万円までと決められており、それ以上になると一定の割合で贈与税がかかり、額が多ければ多いほどその税率は高まっていきます。
暦年贈与とは、1年間に贈る額を減らし複数年にわたって贈与を行うことで、非課税あるいは少ない税率で資産の贈与を行う方法だと言えます。
贈与税がかかっても110万以上の贈与を行うべきケースとは
毎年110万円を超えて贈与を行うと贈与税がかかりますが、それでもそれ以上の額を贈与するほうがお得なケースがあります。それは毎年かかる贈与税の税率が、それを行わなかった場合に残る相続税の税率を下回るケースです。
例えば毎年310万ずつ贈与を行った場合かかる税率は10%ですが、それを行わず将来多額の相続財産が残った場合、10%をはるかに超える20%、30%という税率が適応される可能性があるのです。
(資料・暦年贈与における贈与税)
基礎控除後の課税価格
(万以下) |
200万 | 300万 | 400万 | 600万 | 1,000万 | 1,500万 | 3,000万 | |
税 率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | |
控除額 | ‐ | 10万 | 25万 | 65万 | 125万 | 175万 | 250万 |
(資料・相続税の税率と控除額)
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
▼暦年贈与 毎年110万ずつは非課税で、それ以降は額に応じて税金がかかる。
▼資産が多い場合は110万を超えて贈与することが合理的となる。
⇒将来的に想定される相続税率と贈与税の税率を比較し検討

年間110万円とそれ以上の贈与を行うべきケースを考える

ここでは子供のいる若年世代(30代)の方が実際に暦年贈与を行った場合の具体的なメリットを110万円の贈与をする場合とそれ以上を行うべきケースについてシュミレーションしていきます。
基本条件
・夫と妻と子ども二人の4人家族を想定
→子ども二人に暦年贈与を行う。ともに50年出来たと仮定する
・不動産の利用を考慮しない。
目標
資産に応じていくら暦年贈与すれば効率的かを考える。合計でどのくらい効率的残せるのかを計算し今と将来の配分の判断をするための要素とする。
各種要素
暦年贈与以外に利用できる一般的な控除などを上げています。
要素①基礎控除
相続税のもっとも基本的な控除
・夫の基礎控除額は4800万
・妻の基礎控除額は4200万
※計算の都合上、妻の資産が4200万円のときを仮定。
要素②生命保険控除
・夫 1500万円
・妻 1000万円
控除されるのは法定相続人の人数×500万円。
要素③教育資金贈与
・1500万円×2
それぞれの子に孫が生まれたと仮定した場合 。
要素④住宅取得控除
1000~×2
要素⑤暦年贈与
現時点で大本命なのが暦年贈与の額を毎年いくらにするべきかという問題。
生前に子どもや孫に毎年110万円まで非課税で贈与できるというお得な制度なのですが、それを超えた場合は額に応じて贈与税を納める必要があります。
ケース①暦年贈与を110万する場合

結論:資産2憶7500万円まで有効。
暦年贈与をしないとき→相続税1625万円
暦年贈与110万円するとき→0円。
今回の条件での計算では子供に残したい資産が2憶7500万円までの場合は、上記にあげた相続対策を行うことで、相続税を0にすることが出来ます。またこの中で暦年贈与制度を利用しなかった場合には1625万円の相続税が子供に発生することが考えられます。
なお各種控除を使わなかった場合はこれ以上の相続税がかかるのは言うまでもありませんが、ここではすべて使ったものとして考えます。
以下は参考までに計算式です。
110万円 × 子ども2人 × 50年 =1億1000万
要素①より9000万、要素②より2500万、要素③より3000万、要素④より2000万
①-④合計16500万を加えて、すべての生涯資産が合計2憶7500万円までの場合、効率的に資産を子供に渡せる。
○まったく暦年贈与をしない場合と比較。
1億1000万円が課税額になるので
法定相続分 妻5500万円、こども2750万円
相続税
妻5500×0.2-200=900万
子2750×0.15-50=362.5万
×2 725万
合計→1625万円
ケース②年間310万の暦年贈与を検討するべきケース

結論:資産2憶7500円を超え、最大4億7500万円まで(+贈与税コスト)
暦年贈与110万円→3900万円の相続税
暦年贈与310万円→2000万円の贈与税
その差額は1900万円
※なお資産に応じて、310万円と110万円の贈与を何年ずつ行うかを別途計算する必要があります。
以下は参考までに計算式です。
毎年310万円ずつ子供二人に贈与する場合・・・
年間310万円 × 2人 × 50年 = 3億1000万
(必要コスト 贈与税20万×2×50=2000万円 )
要素①より9000万、要素②より2500万、要素③より3000万、要素④より2000万
①-④合計 16500万を加えて、合計4億7500万円のときもっとも効率的。
▼比較対象 暦年贈与110万円と比較
コストを払っても暦年贈与をすることでいくら相続税を減らせるかを計算します。
②~④は施行済みとし、47500-7500=40000万
そのうち妻に4200万の資産があるとして(非課税で子供に相続できる額)
残り3億5800万
暦年贈与11000万していたとすると・・・2憶4800万
基礎控除4800を引くと・・・2億円
法定相続分 妻1億、こども5000万×2
相続税は
妻10000×0.3-700=2300万
子5000×0.2-200=800万
×2 1600万
よって合計→3900万円
まとめ

今回は生前から行える相続対策として効果的な暦年贈与について大まかにシュミレーションを行い考えました。
資産の効率的な相続に有効な暦年贈与の制度を知り、想定される資産の額に応じて早めに対策することで効率的に子どもや孫に資産を残すことが出来ます。毎年110万円までの暦年贈与は贈与税がかからず、どんなケースにおいても有効な節税手段になります。
相続税と贈与税の一体化が議論されるなか、資産形成を始めたばかりの若年世代であったとしても税金や社会制度などの状況に対して早く勉強し、ゴールを意識しながら行動していくことが大切であると考えます。
ではまた(*’▽’)


